産泰神社 安産祈願

文化財

本殿・幣殿・拝殿・神門・境内地が「群馬県指定重要文化財」に指定されています。
本殿をはじめ各建物は、日本や中国の故事にちなんだ彫刻が施されています。

本殿<span>ほんでん</span>
県指定重要文化財

本殿ほんでん

建立
宝暦十三年(1763年)癸未四月二十三日
構造
一間社入母屋造、妻入り、向拝一間

全体が多くの彫刻により飾られており、上段には二十四考の「老來子」と「唐婦人」、背面には謡曲の「高砂」の彫刻があります。また、下段には唐子遊びや水鳥等の彫刻があります。

幣殿<span>へいでん</span>
県指定重要文化財

幣殿へいでん

建立
拝殿と同年代と推定
構造
正面一間切妻造、側面二間、妻入

建立年代は棟札等が無く不明ですが内部格天井に描かれている源氏物語の絵師が拝殿と同じため、同年代の建立と思われます。両側には鯉の滝登りの彫刻があります。

拝殿<span>はいでん</span>
県指定重要文化財

拝殿はいでん

建立
文化九年(1812年)壬申八月十三日
構造
正面三間、側面二間、入母屋造

内部格天井には112枚の花鳥の絵が描かれており江戸下谷の壽笑亭泉一重・増田村の久川恵水等の絵師の名があります。大工棟梁は信州諏訪の大隅流矢崎久右衛門元形です。

神門<span>しんもん</span>
県指定重要文化財

神門しんもん

建立
天保四年(1833年)癸巳三月吉日
構造
三間一戸八脚門、入母屋造、正面唐破風付

本殿より遅れること70年後に建立されました。他の三棟の建物が彩色が施されているのにたいして白木の建物です。

境内地<span>けいだいち</span>
県指定重要文化財

境内地けいだいち

本殿・幣殿・拝殿・神門をはじめ、磐座(いわくら)・金刀比羅宮・神楽殿などがあり、境内地全体が文化財指定を受けています。

産泰神社太々神楽<span>さんたいじんじゃだいだいかぐら</span>
市指定重要無形文化財

産泰神社太々神楽さんたいじんじゃだいだいかぐら

4月18日の産泰神社例祭では、市指定重要無形文化財の産泰神社太々神楽が奉納されます。
奉納額に明和元年(1764年)のものが現存することから、長い歴史があることが伺えます。

八稜鏡<span>はちりょうきょう</span>
市指定重要文化財

八稜鏡はちりょうきょう

寄託
高崎歴史博物館

背面には、外区の各花弁ごとに瑞花のレリーフが見られ、内区もまた花弁形をしており、瑞花が配される中に相対して二羽の鳳凰が飛び交う姿が見られます。縁どり、文様などから平安時代の作と推定されます。

彫刻

本殿、幣殿、拝殿には、日本や中国の故事にちなんだ彫刻が施されています。

老莱子<span>ろうらいし</span>

老莱子ろうらいし

場所
本殿に向かって左側面上部

老莱子は、親孝行の物語として知られている二十四孝の一つです。莱子は親を悲しませないために、年老いても子供のように振るまい続け、親を喜ばせたといいます。この彫刻では、莱子が親の前で美しい着物を着て、自分の老いを感じさせないよう振るまう姿が描かれています。

唐夫人<span>とうふじん</span>

唐夫人とうふじん

場所
本殿に向かって右側面上部

二十四孝の一つです。唐の崔寛の妻である唐夫人は、姑が歯がなくなり食事に困っていたことを憂い、毎日自分の乳を飲ませお世話をしていました。彫刻では姑に乳をのませる姿が描かれており、姑に仕えた美談として伝わっています。

高砂<span>たかさご</span>

高砂たかさご

場所
本殿背面

謡曲「高砂」の一場面で、夫婦円満、長命の大変縁起のいい物語として知られています。彫刻では、阿蘇神社宮司の友成が上洛の途中に高砂の浦で、落葉を掃く老夫婦(松の精)に相生の松の由来について尋ねている場面が描かれています。

登竜門<span>とうりゅうもん</span>

登竜門とうりゅうもん

場所
幣殿側面

中国の故事の一つです。黄河には竜門と呼ばれる急流があり、ここを登り切った鯉は龍になると言われています。逆流に負けない忍耐強さや、立身出世の喩えとして伝わります。彫刻では滝を昇る鯉が描かれています。

江革<span>こうかく</span>

江革こうかく

場所
拝殿に向かって右側の脇障子

二十四孝の一つです。後漢の江革は母子二人で助け合って生活をしていました。江革は母を大切にし、出世し官吏の役に就いても、外出する際は母を車に乗せ自ら引いたとのことです。彫刻では母を自らが引く車に乗せている姿が描かれています。

楊香<span>ようこう</span>

楊香ようこう

場所
拝殿に向かって左側の脇障子

二十四孝の一つです。魯の楊香は15歳の時、父と山で柴刈をした際、突然猛虎が現れ父親に襲い掛かりました。楊香は父を守るため猛虎に飛びつき撃退したといわれています。彫刻では猛虎に勇ましく立ち向かう楊香が描かれています。

龍<span>りゅう</span>

りゅう

場所
拝殿正面

拝殿正面の海老虹梁には、阿吽の龍が彫られています。右側には阿形の昇り龍、左側には吽型の降り龍がそれぞれ頭を内側に向け、社殿を守りながら参拝者を見守っています。

竹生島<span>ちくぶしま</span>

竹生島ちくぶしま

場所
拝殿正面

波の中に兎が彫られた波兎文様は謡曲「竹生島」の一節に由来します。謡曲では、月明かりに照らされた水面に白い波が立つさまは、まるで何匹もの兎が飛び跳ねているようだと謡われています。そのため、波兎文様は子孫繁栄や豊穣をもたらす縁起のいい文様といわれています。

殿内

拝殿と幣殿それぞれの天井は、細密な絵画で彩られています。

花鳥<span>かちょう</span>

花鳥かちょう

場所
拝殿天井

拝殿天井には112枚の花鳥図が描かれています。「壽笑亭一重文化十二年(1815年)」の墨書があることから、花鳥図の作者と制作年代を表すものであると推測されています。

源氏物語<span>げんじものがたり</span>

源氏物語げんじものがたり

場所
幣殿天井

幣殿天井には、創建当時に描かれたとされる源氏物語の天井画が残っています。55㎝の正方形に組まれた格天井に、源氏物語の「桐壺」から三十帖「藤袴」までの各帖からそれぞれ一場面が描かれています。「上増田住人」「積美圓惠水」の墨書があり、作者と推測されています。