産泰神社

安産祈願や神社のことについて、神職が綴ります。

このはな手帖

【神職が解説】コノハナサクヤヒメとは?安産・子育てのご利益と由来を解説

【神職が解説】コノハナサクヤヒメとは?安産・子育てのご利益と由来を解説

安産と子育ての神様として知られる木花佐久夜毘売命(コノハナサクヤヒメノミコト)

日本の神話の中でも最も有名な女性の神様の一人(一柱)で、全国数多くの神社でお祀りをされています。

安産・子育ての神様として、また絶世の美女として有名な木花佐久夜毘売命ですが、いったいどのような神様なのでしょうか。

この記事では、木花佐久夜毘売命のご利益や伝承、木花佐久夜毘売命がお祀りされている神社をご紹介します。

安産祈願やお宮参り・七五三を考えている方、女性守護の神社にお参りに行きたい方はぜひ参考にしてみてください。

INDEX

1. 木花佐久夜毘売命ってどんな神様?

1-1. 安産・子育て・子宝の神様

お宮参り・安産祈願

木花佐久夜毘売命(コノハナサクヤヒメノミコト)は、「安産」「子育て」「子宝」の神様として有名です。

木花佐久夜毘売命は古事記によると、火の放たれた産屋で無事自身の御子を産み立派に育てたと伝えられ、その伝承から「安産祈願」や「子宝祈願」の神様として全国的に崇敬を集める神様です。

また無事に三柱の神様を育て上げたことから「子育て」「お宮参り」の神様としても親しまれています。

1-2. 家内安全・火除け・災い除けの神様

また木花佐久夜毘売命は夫である邇邇芸命(ににぎのみこと)との間に三柱の御子神をもうけたことから、家族の安らぎと守りを願う「家内安全」の神さまとして親しまれています。

さらに、火の中で出産し御子とともに無事であった神話にちなみ、「火除け」「災い除け」の神さまとしても知られています。

また富士山を神域とする浅間神社では、木花佐久夜毘売命を「浅間大神」としてお祀りしています。これは富士山の噴火(火)をおさめる火の神様としての信仰に基づくものといわれています。

1-3. 女性守護と繁栄の神様

木花佐久夜毘売命
掛け軸に描かれる木花佐久夜毘売命

古事記の本文では木花佐久夜毘売命について「木の花の栄ゆるが如く栄え坐(ざ)さむ」と表現されています。
これは「花が咲くような繁栄」を意味する神様であると考えられています。
また、その美しさから「桜」の花の名前の語源になったとの説もあります。
それらのことから、強さと美しさと儚さをもつ女性守護の神様としても知られています。

1-4. 農耕、酒造のご利益も

木花佐久夜毘売命は「火を鎮める神様」=「水の神様」とも考えられています。

またその水のご利益を稲作文化と結びつけ、稲作をはじめとする農業がよく実り豊かになる「農耕の神様」としてのご利益(五穀豊穣)があるともいわれています。

また、宮崎県の都萬神社では、御子を育てる際に木花佐久夜毘売命がお乳のかわりに甘酒を作って飲ませたという神話があり、「酒造業の神様」としてお祭りされています。

このように、様々なご利益を持つ神様として、全国的に親しまれている神様です。

2. 木花佐久夜毘売命の家族は?

木花佐久夜毘売命系図

2-1. 夫は天孫「邇々芸命(ニニギノミコト)」

霧島神宮(奥宮)天孫降臨の地
邇邇芸命が地上に降りてきた場所(天孫降臨)の地の一つとされている高千穂河原・天孫降臨神籬斎場

木花佐久夜毘売命は邇邇芸命(ニニギノミコト)という神様と結ばれました。

邇邇芸命は天照大神(アマテラスオオミカミ)の孫にあたる神様で、天照大神の命により地上を治めるために天から降りてきた神様(天孫降臨)です。

邇邇芸命は天照大神から三種の神器を授けられ、天照大神の子孫として皇孫(すめみま)と呼ばれ日本を治める特別尊い存在です。

なお、邇邇芸命の曾孫が初代天皇である神武天皇にあたります。

2-2. 子供は「火照命」「火須勢理命」「火遠理命」の三柱

木花佐久夜毘売命と瓊瓊杵尊の間に生まれた神様は火照命(ホデリノミコト)火須勢理命(ホスセリノミコト)火遠理命(ホオリノミコト)の三柱です。

このうち火照命は海幸彦、火遠理命は山幸彦の別名を持ち、「うみさちやまさち」のお話としても有名です。
火遠理命(ホオリノミコト)の孫が神武天皇にあたります。
◾️海幸山幸(うみさちやまさち)のお話

海幸彦(火照命)と山幸彦(火遠理命)の兄弟は、海幸彦は漁、山幸彦は狩りを暮らして過ごしていました。
ある時、お互いの道具を交換してみたところうまくいかず、山幸彦は借りた釣針を海で失ってしまいます。
山幸彦は針を作り直したものの海幸彦は受け取らず、元の釣針を返せと責め立てます。
途方に暮れた山幸彦は海の中の綿津見神の宮へ赴きます。
そこで釣針を返してもらい、塩盈珠・塩乾珠(潮を操る力が宿る玉)を授かって海幸彦の元へ帰ります。
海幸彦はそれでも納得しませんが、山幸彦は2つの宝珠の力によって海幸彦を屈服させ、納得させたのでした。

青島神社
火遠理命をお祀りする青島神社(宮崎県)

2-3. 父は山の神「大山津見神」

大山津見神(オオヤマツミノカミ)は伊耶那岐(イザナギノカミ)・伊耶那美(イザナミノカミ)により生まれた神様で「大いなる山の神」という意味の名前を持つ、山を司る神様です。
石長比売命・木花佐久夜毘売命の他にも、足名椎(アシナヅチ)や神大市比売(カムチオオイチヒメ)など多くの多くの神様を産みました。
国土、農耕、出産、航海守護など、多方面のご利益をもつ神様です。

2-4. 姉は長寿の神「石長比売」

石長比売(イワナガヒメ)は大山津見神の娘、木花佐久夜毘売命の姉にあたる神様です。
邇邇芸命が父である大山津見神に木花佐久夜毘売命との婚姻を願いでた際、石長比売も共に邇邇芸命に差し出します。
ところが邇邇芸命は容姿の劣る姉を大山津見神の元に戻し、妹の木花佐久夜毘売命のみを妻とします。
実は、大山津見神は木花佐久夜毘売命を邇邇芸命に差し出す際、「花のような美しさと繁栄(木花佐久夜毘売命)」が「岩のように長く続くように(石長比売)」と二人に願いを込めて邇邇芸命に差し出したのですが、「長寿(石長比売)」を邇邇芸命は拒否してしまったのでした。
そこで大山津見神は「花は美しいが移ろいやすい。ゆえに天孫の命は岩のように永遠ではなく、花のように限りあるものとなろう」と告げます。
このことが、天皇の寿命、また人々の寿命が永遠ではない由来となったといわれています。
出典

3. 木花佐久夜毘売命のご利益の由来は?

3-1. 燃え盛る産屋で無事出産、子育てをする

御室戸
木花佐久夜毘売命が出産したとされる産屋(無戸室)(宮崎県・木花神社)

安産、子育て、家内安全の神様である由来は古事記の記述によるものです。

古事記での記述によると、天孫(地上を収めるために天から降りてきた神様)である邇邇芸命と結婚した木花之佐久夜毘売命は、結婚してほどなくして身ごもります。
しかし、あまりに早い懐妊だったため、邇邇芸命は「我が子ではなく、他の神様の子ではないか」と疑ってしまいます。

そこで木花之佐久夜毘売命は疑いを晴らすため、戸口のない産屋(八尋殿)を建て、その中に入って壁を土で塗り固め、外から閉ざし自ら産屋に火を放ちます。
そして「もし邇邇芸命の子であれば無事に生まれ、他の神様との子であれば無事には済まないでしょう」と邇邇芸命に告げます。
木花佐久夜毘売命は燃えさかる炎の中でも無事に、火照命、火須勢理命、火遠理命の三柱の神を出産し、そのことによって天孫の子であることが証明したのです。

燃え盛る産屋で無事、自身の御子を産んだことにより木花佐久夜毘売命は「安産・子育て」「子宝」「家内安全」の神様として親しまれています。

3-2. 富士山の噴火を鎮める

富士山

浅間信仰(せんげんしんこう:富士山への信仰)では、「火除け(火を鎮める)」「災難除け」の神様としてお祀りをされています。

浅間信仰は、静岡県・山梨県を中心に霊峰である富士山そのものを神域としている信仰です。
各地の浅間神社では昔から、山の恵みへの感謝とともに、噴火の災害が静まるよう祈ってきました。
木花佐久夜毘売命は火中での出産をしたことから、火を鎮める神様として、噴火、火防、安全を守る神様として浅間神社でお祀りをされています。
山梨県の北口本宮冨士浅間神社で執り行われる「鎮火祭(吉田の火祭り)」は毎年8月26・27日の2日に執り行われる富士山の噴火を鎮める祭であり、木花佐久夜毘売命が猛火の中でご安産なされた故事に基づくとされています。

3-3. 女性守護と繁栄の象徴

木花佐久夜毘売命は「強く美しい女性の象徴」「繁栄の神様」としても有名です。

これは燃え盛る産屋で御子を産んだ気持ちの強さや、姉の石長比売との対比で美しさを象徴する神様であったこと、また桜の花の語源となった(諸説あり)神様であることなどから、強く美しい女性の象徴の神様であると考えられています。

また、大山津見神が木花佐久夜毘売命を「木の花の栄える如く栄える」と邇邇芸命に伝えたことから、木花之佐久夜毘売は繁栄を司る神様でもあったことが伺えます。

4. 木花佐久夜毘売命をお祀りする神社

木花佐久夜毘売命は全国の数多くの神社でお祭りされています。

4-1. 産泰神社(群馬県前橋市)

産泰神社 

群馬県前橋市下大屋町鎮座の産泰神社では木花佐久夜毘売命をお祀りしており、神社の名前が示す通り「安産・子育て・女性守護」の神社として崇敬を集めております。

大安や戌の日には多くの妊婦の方が安産祈願に訪れるほか、子育て・女性守護の神社として七五三やお正月も賑わいます。

産泰神社WEBサイト

4-2. 富士山本宮浅間大社(静岡県富士宮市)

富士山本宮浅間大社

富士山本宮浅間大社は、富士山を御神体として仰ぐ浅間信仰の浅間神社の総本社です。

富士山そのものを「御神域」とし、噴火を鎮めた木花佐久夜毘売命の御神徳への崇敬から、山と社が一体となった信仰を持つ神社です。

富士山本宮浅間大社WEBサイト

4-3. 高千穂神社(宮崎県西臼杵郡)

高千穂神社

高千穂神社は、高千穂郷の総社として知られ、天孫降臨の地として知らます。

木花佐久夜毘売命は夫の邇邇芸命と共に「高千穂神」としてお祀りをされています。

高千穂町WEBサイト

4-4. 霧島神宮(鹿児島県霧島市)

霧島神宮

高千穂神社ともう一つの天孫降臨の地として知られる、国宝の社殿をもつ神社です。

背後に霊峰・高千穂峰を仰ぐ場所に鎮座しており、現在の社殿は島津家の寄進による重建が伝えられ、朱塗りの壮麗な社殿は令和4年に国宝指定となっています。

主祭神として夫の邇邇芸命がお祀りされており、相殿に木花佐久夜毘売命がお祀りされています。

霧島神宮WEBサイト

4-5. 木花神社(宮崎県宮崎市)

木花神社

木花神社は、木花佐久夜毘売命と邇邇芸命をお祀りし、境内には「霊泉桜川」や、火を放った産屋があったと伝わる「無戸室(うつむろ)の跡」があります。

神話の伝承にふれられる見どころが点在します。

宮崎市観光協会WEBサイト

4-6. 子安神社(三重県伊勢市)

子安神社は、伊勢神宮・内宮(皇大神宮)宮域内にお祀りされるお社で、神明造の社殿が印象的です。

すぐ近くに大山祇神社が鎮座し、木花咲耶姫命と父神とのつながりも感じられます。

子安神社WEBサイト

5. お参りの作法

5-1. 神社でのご祈祷の作法って?

ご祈祷

5-1-1. より丁寧な参拝作法「ご祈祷」

神社でお参りする際の正式な参拝作法が、「ご祈祷」です。

神社で申し込みをしたのち御神前に進み、神職が祝詞を読み上げることを通じて自分のお願い事を神様に伝えます。

神社の前で手をあわせるお参りに比べて、神様の近くで正式にお願い事を伝えるより丁寧な作法です。

5-1-2. 申し込みは神社で

多くの神社では当日神社に行き、社務所や受付所にてご祈祷の受付をします。

なお、ほとんどの神社でご祈祷を執り行っておりますが、予約の必要な神社もありますので、事前に確認しておくと安心です。

受付では、自身の名前や住所、お願い事を申込用紙に記入します。

5-1-3. ご祈祷の流れ

受付が済んだら、待合室で静かに待ち、順番になると神殿に進みます。

ご祈祷では神職が祝詞を読みお願い事を神様に伝えます。
そののち神様に玉串(神様へのお供物)をお供えし、拝礼(二拝二拍手一拝)をします。
最後にお神札やお守りをいただき、ご祈祷は終了します。

5-2. お参り作法は?

神社でお参り・安産祈願・お宮参り

5-2-1. 鳥居の前で一礼・手水をしましょう

神社に赴いたら、まずは鳥居の前で一例をし境内に入ります。
鳥居は神域を分ける結界であり、神様の神域に入る意味を込めて軽く一礼をしましょう。

また参道に入ったらの真ん中(正中)を外して進みましょう。これは参道の真ん中は「正中」と呼ばれ、神様が歩く道であるからです。

境内では手水を行い、身を清めます。手水は柄杓で水をすくったのち、左手→右手→左手→口(柄杓で左手に水をため口につける)→柄杓の柄(柄杓を立てて残った水を柄に流す)の順に清めます。

柄杓に口をつける行為はマナー違反ですので気をつけましょう。

5-2-2. 拝礼は「二拝二拍手一拝」

神社でのお参りは「二拝二拍手一拝」の作法が基本です。
二 拝:まずは二拝をします。「拝」とは90度の深いお辞儀を意味し、神様に対し最敬礼の意味を持ちます。
二拍手:次に胸の高さで丁寧に二回拍手をします。
一 拝:最後にもう一度90度の深いお辞儀をします。

5-3.自宅でのお参り作法は?

お神札

5-3-1. 目線より高く清浄な場所

神社からお札をいただき自宅でお祭りする場合、お神札は「目線より高く、清浄な場所」にお祀りします。

玄関やトイレの近くは避け、家の中心の部屋(リビングなど)にお祀りをします。

5-3-2. 東向き、もしくは南向き

お神札をお祀りする際は、お神札の正面が「東向き」もしくは「南向き」になるようにお祀りをします。

5-3-3. 丁寧にお参りすることが大切

自宅でお神札をお祀りしてのお参りは、自身で無理のないように続けることが重要です。
目線より高い場所が難しい場合や、お神札の向きが難しい場合は無理をしてお祀りするのではなく「丁寧にお祀りすること」と「掃除をし清潔に保つこと」に重点を置いて、自分で続けられるようにお神札をお神札をお祀りすることだ大切です。

5-4. お願い事はどのように伝える?

5-4-1. 特に決まりはない

お願い事の方法は特に決まりはありません。
住所を伝えた方が良い、名前を伝えた方が良い、ということも特にありません。
心の中で唱えるだけでも問題ありません。
ご自身の思うように神様に願い事をお伝えしましょう。

5-4-2. 神道における唱えことば

参拝や神棚の前で唱える言葉として、代表的なものに次の祝詞があります。

「祓え給い、清め給え、神ながら守り給い、幸え給え」

神道では「自分の穢れを祓い清める」ことが神様に近づく大切な行いであると考えられているため、この言葉を唱えるのも良いでしょう。

出典

6. まとめ

いかがでしたでしょうか。

木花佐久夜毘売命は日本の神話の中でも有名な神様ですが、

全国の神社で様々なご利益のある神様としてお祀りされており

多くのエピソードのある神様の一人です。

木花佐久夜毘売命がお祀りされている神社に行く際は

お祭りされている神様について少しでも調べてみるようにしてみてください。

神様のことを知ってから行くことで、より神様が身近なものに感じられるようになるかもしれません。

7. よくある質問

[質問]木花佐久夜毘売命はどのようなご利益がある神様ですか?
[回答]安産や子育て、家内安全や女性守護、災除けなど多くのご利益がある神様です。
[質問]木花佐久夜毘売命の有名なエピソードは?
[回答]火の燃え盛る産屋で無事に自身の子供を出産したエピソードが有名です。無事に出産し子供達を育て上げたことから安産子育ての神様として有名です。
[質問]神様へのお参りの作法は?
[回答]拝礼は「二拝二拍手一拝」

 

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