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このはな手帖

【神職がお答えします】喪中のお正月はどうやって過ごせばいい?やってもいいこと・控えるべきことを解説!

【神職がお答えします】喪中のお正月はどうやって過ごせばいい?やってもいいこと・控えるべきことを解説!

一般に二親等以内のご親族が亡くなられた際、およそ1年間は「喪中」となります。

この喪中が新年と重なる場合、どのようなお正月を過ごせばいいのか悩む方もいらっしゃるかもしれません。

喪中はがきなど、家族以外の人とのやりとりもしなければならないので、常識のない人だと思われるのは避けたいという気持ちもあり、気を遣う場面も多いでしょう。

ここでは、喪中におけるお正月の過ごし方を、神道の考え方を踏まえて詳しく解説します。この記事を読めば、「喪中だけど・・・」というモヤモヤを解決して、ご自身の納得できるお正月を迎えることができるでしょう。

INDEX

1.忌中・喪中とは?

1-1. 忌中とは、外部との接触を避ける期間

「喪中」とはよく聞きますが、実は「喪中」の期間のうち、最初の50日は特に「忌中」と言います。

「忌中」と「喪中」、とても似た言葉ですが、示す期間と意味合いが異なります。

期間中にやっていいこと、控えるべきこともそれぞれ異なりますので、まずは基本的な考え方をおさえましょう。

忌中と喪中の期間

1-1-1. 神道における忌中(50日間)

神道式のお供え

神道における忌中を知るうえで重要な概念は、次の2点です。

・祖先を崇拝する信仰が基になっていること
・「死は穢れたもの」であるということ

神道における「忌中」とは、人が亡くなってから御霊として存在する50日間のことを指します。

同時に、近親者の死という穢れを外に広めないように、忌中は外部との接触を避けて身を慎み、静かに祈ることで故人の御霊を清めると考えられています。

故人の死後50日に行われる五十日祭(ごじゅうにちさい)により、故人は家庭を守る祖先神になると考えられています。

1-1-2. 仏教における忌中(49日間)

物資期のお供えであるお線香

仏教において、「死は生の苦しみから解放され、別の世界へと生まれ変わるための通過点」として考えられえています。

故人は生まれ変わるために7日ごとに生前の行いについて裁きを受け、7回目(49日目)の最後の裁判で極楽浄土へ行けるのかの判断がくだされます。

四十九日とは仏教用語の一つで、命日から数えて49日目に行う追善供養のことです。

ちなみに、鎌倉時代・親鸞によって開かれた日本仏教の宗派の一つである浄土真宗には忌中の概念がありません。

というのも、浄土真宗では、阿弥陀如来の力を信じて「南無阿弥陀仏」と念仏すればすべての人は極楽浄土に往生できるという教えだからです。

つまり、死後すぐに阿弥陀如来のお力により極楽浄土で仏様として生まれ変わるので、死後49日の忌中の考え方がないのです。

1-2. 喪中とは、故人を偲び悲しみを乗り越えるための期間

喪中は、残された家族が悲しみを乗り越え、通常の生活に戻るために必要な期間とされています。

結婚式などのお祝い事のへの出席、遠方への旅行などは控えることとされています。

1-3. 喪中の範囲は故人の二親等までが一般的

喪に服す期間は故人との関係によって異なりますが、一般的には二親等までの家族がその範囲とされます。

自分(夫・妻)をゼロとして、
一親等  |  自分の父母・配偶者の父母・子
二親等  |(自分および配偶者の)兄弟姉妹・兄弟姉妹の配偶者・祖父母、孫

したがって、一般に、二親等までの家族が亡くなって初めての正月は喪中となります。

もちろん、故人との親交の深さによって三親等以上でも喪中とすることもあります。故人を想うご自身や家族のお気持ち次第ですので、相談して決めましょう。

2.喪中のお正月を迎える準備は?

2-1. 喪中はがきを出しましょう

喪中はがき

喪中はがきは、正しくは「年賀欠礼状」といいます。

その名が示す通り、喪中はがきの目的は、
「喪に服しているため新年のお祝い、ご挨拶をすることができません」ということをお知らせすることです。

もっとも、訃報をお知らせすることではないことに注意しましょう。

喪中はがきを送る相手は、自身の親族や友人、故人がやり取りしていた相手・葬儀に参列してくださった方など、例年年賀状のやり取りのある人です。ただし、近年は親族間での送付を省略することもあるようです。

相手が年賀状の印刷準備を始める前に届けるのが基本的なマナーです。したがって、ご家族が亡くなった年の11月上旬頃から準備をはじめ、11月~12月上旬に喪中はがきを送付しましょう。

なお、喪中はがきのご準備にはこちらのサイトが便利です。
喪中はがき印刷|郵便局の総合印刷サービス (japanpost.jp)

2-2.  12月後半に不幸があったら「寒中見舞い」でお詫びを

年末に急に親族の不幸があった場合は、急いで喪中はがきを出す必要はありません。

というのも、すでに相手は年賀状の発送準備を終えているかもしれません。「喪中のところ年賀状を送ってしまった」と相手に気を遣わせないようにしましょう。

年末に急な不幸があった場合は、年始「松の内」が明けてから「立春」までに寒中、寒中見舞いを送って新年のご挨拶ができなかったことについてお詫びをしましょう。

なお、松の内は地域によって異なる場合がありますが、一般に1/15~1月下旬までに投函するようにすれば大丈夫です。

3.喪中のお正月で控えたいことは?

3-1. お正月飾りは控えるのが一般的

正月飾り

正月飾りの多くは神道の習慣によるものです。神道では、忌明けであれば神事をしても差し支えないと考えられてはいるものの(出典:神社本庁「服忌」)、喪中のお正月には、正月飾りを控えることが一般的です。

というのも、正月飾りはそれぞれ、歳神様をお迎えし、旧年の無事を感謝して新年をお祝いするためのものだからです。旧年に親族が亡くなったということは旧年の無事ではない、といえるでしょう。

さらに、喪中の期間は基本的に慶事(お祝い事)を自粛する必要があることからも正月飾りはしない、というのが通例です。

門松 

歳神様をお迎えするために飾ります。

しめ飾り

しめ縄に橙(みかん)や譲り葉などの縁起物を飾り付けたものです。こちらも歳神様をお迎えする自宅が神聖であることを示すために飾ります。

鏡餅

神様のお供え物として飾ります。

3-2. おせち料理は遠慮するのが通例

お正月のおせち料理

喪中の間は、おせち料理をはじめとするお正月のお料理は遠慮するのが通例です。

というのも、お正月のお料理はいずれも「祝い膳」だからです。

おせち料理

おせち料理は、作物の収穫に感謝して神様にお供えする「節供(せちく)」を料理していただく「節供料理」が由来とされています。奈良時代には朝廷内の節供(祝いの日に行われる公式行事と宴会)でふるまわれていました。

中でも最も重要な正月の節供料理は、のちに「おせち料理」と呼ばれるようになりました。

おせち料理といえば豪華なお重のイメージの通り、新年をお祝いする「祝い膳」です。
祝い肴三種である、煮しめ・酢の物・焼き物を基本とし、無病息災・子孫繁栄・五穀豊穣といった縁起のいい意味を込めた料理が並びます。また、おせちの「組重」はめでたさを重ねるという意味が込められています。

お雑煮

彩り豊かなお雑煮。正月飾りの鏡餅に代表されるように、お餅は歳神様へのお供えです。旧年の収穫と家族の無事に対する感謝の気持ちを伝え、新年の豊作と家内安全を祈ります。

お屠蘇

お屠蘇とは、お正月にいただく縁起のよいお酒のことです。
「邪気を屠(ほふ)り、魂を蘇らせる」や「蘇という悪鬼を屠る」といったいろいろな解釈があります。

祝箸

おせち料理をいただくときに使う祝箸は、片側は神様用・片側が人間用とされています。

このように、大変おめでたいお料理ですので、喪中の間は遠慮するのがよろしいかと思います。

どうしてもおせち料理を食べたい、という方は、
・お重は使わない(日常の食器を使う)
・祝箸は使わない
・紅白を使わずに白だけにする
・鯛など華美なものは避ける
・通常の食事としていただく

など、工夫してみてください。

また、ご家族によっては「忌明けであれば構わない」という考え方の方もいらっしゃいます。おせち料理は家庭内のことですので、何よりも故人を偲ぶ気持ちを第一に、ご家族の意向を尊重されることが大事です。

4.喪中のお正月で気を配りたいことは?

4-1. お年玉はお祝い事について書かれていないポチ袋を選ぶ

お祝い言葉のないポチ袋

お正月といえば、お年玉を楽しみにしているお子さまもたくさんいらっしゃるかと思います。

喪中にお年玉を渡すことは問題ありませんが、「あけましておめでとう」など、お祝いの言葉が書かれていないポチ袋を選ぶことをおすすめします。

4-2. お歳暮の贈答は問題ないが、熨斗に注意

お歳暮は、喪中に避けるべき慶事ではなく、あくまでも日ごろの感謝の気持ちを伝えるための贈り物ですので問題ありません。

気になる方がいらっしゃいましたら、お歳暮の熨斗(のし)はつけずにシンプルな包装紙を使うこともできます。

5.喪中でも問題のないことは?

5-1. 年越しそばは食べても大丈夫

年越しそば

年越しそばの風習が始まったのは江戸時代中期。

そばは縁起物で健康にもいいということで、「みそかそば」「節分そば」という名で毎月末(みそか)や季節の変わり目(節分)に食べられるようになりました。

中でも、立春の前日は旧暦の12月末日(大みそか)と近いこともあり、この年の最後のお蕎麦が「年越しそば」として明治以降に全国的に広まりました。

年越しそばの由来には諸説あります。
・そばは細く長く伸びることから「延命・長寿」
・そばは切れやすいので「一年の苦労や災厄を断ち切る」
・金銀細工しが散らばった金粉を集めるのにそば粉を使っていたことから「金運を呼ぶ」

いずれも、お祝い事とは関係ありませんので、喪中であっても年越しそばは食べても大丈夫です。

5-2. 初詣は忌明けであれば問題ありません

喪中に初詣に行ってもいいのか、非常に悩むことかと思います。

答えは、「忌明けであれば神社に初詣にいっても問題なし」です。

神社庁のWEBサイトにも、以下の通り記載があります;

忌中を過ぎれば、原則として神事を再開しても差し支えないと考えられています
(出典:服忌 | 神社本庁 (jinjahoncho.or.jp))。

喪中と忌中の神社への参拝

逆算すると、身内のご不幸が11月12日以前であり、ちょうどお正月のころに五十日祭を行っていれば忌明けとなりますので、神社への初詣は問題ありません。11月13日以降のご不幸であればお正月は忌中になりますので、お正月の神社への参拝は控え、忌明けまで待ちましょう。

ちなみに、忌中への参拝を控える、というのは神道の「穢れ」の概念によるものです。仏教には「穢れ」の概念がありませんので、お寺への参拝は忌中でも大丈夫です。

>>>喪中の初詣に関して詳しくは、こちらの記事をどうぞ。
【神職がお答えします】喪中に初詣に行ってもいいの?忌中と喪中について詳しく解説|産泰神社 このはな手帖

6.喪中の年始挨拶はどうしたらいい?

年の切り替わり

喪中の期間は基本的に慶事(お祝い事)を自粛する必要がありますので、喪中のお正月には「あけましておめでとうございます」という言葉は使わずに挨拶をします。ここでは、相手別にそのような対応をすればいいのか解説していきます。

6-1. 親戚の集まりは「故人を偲ぶ会」として

お正月には親族が集まるのが毎年恒例行事というご家庭も多くあるかと思います。しかし、喪中で集まるときは「新年のお祝い会」ではなく「故人を偲ぶ会」という名目での集まりにしましょう。

6-2. 友人・知人

6-2-1. はがきなら寒中見舞いを送りましょう

喪中のお正月を迎える場合は、事前に喪中はがきをお送りしておくのがマナーですが、入れ違いやそもそも喪中はがきを出していなかったなどの理由で、年賀状を受け取る場合もあるかと思います。

その場合のお返事は、「寒中見舞い」を送り、新年のお祝いのご挨拶ができなかったことと、相手に喪中のお知らせが遅れたことをお詫びしましょう。

年始「松の内」が明けてから「立春」まで、ただし松の内は地域によって異なる場合がありますが、一般に1/15~1月下旬までに投函するようにすれば大丈夫です

なお、喪中はがきを出していれば寒中見舞いを送る必要はありません。(送っても問題はありません。)

6-2-2. メールでもお祝いの言葉をなしに挨拶のみ

近年では、親しい間柄では新年の挨拶をメールやLINEで行うことも多くなりました。

こうした場合も、事前の喪中はがきと同様に、
事前に喪中メールを送っておくのはとても丁寧な印象です。例えば、

今年の〇月に□□が他界したため、年始の挨拶を遠慮します。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
よいお年をお迎えください。
(返信は不要です)

末尾に、「返信は不要です」と気を遣わせないような配慮も忘れないでおきましょう。

一方、お正月に新年のご挨拶のメールをいただいた場合は、

旧年中は大変お世話になりました。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

といったように、「新年」や「あけましておめでとうございます」というお祝いの使わずに、挨拶のみであれば問題ありません。

6-3. 仕事の関係者には公私を分けての対応を

6-3-1. 社内の人

上司や同僚の場合は、身内に不幸があったことを知っているので、お祝いの言葉を使わない年始挨拶で問題ありません。

6-3-2. 社外の人

喪中であっても、ビジネス(とりわけ社外の人に対して)上の対応は公私を分けてとなります。

基本的に、家族経営など特別な理由がある場合を除き、会社や法人に「喪中」は存在しませんので、ビジネス上は喪中はがきを出す必要はなく、例年通り年賀状を送りましょう。

逆に、毎年年賀状のやり取りがあるのに今年は喪中なので年賀状を出さない、というのはマナー違反だと感じる方もいるので注意しましょう。

7.喪中の相手への年始挨拶はどうしたらいい?

寒中見舞いの時期の花

7-1. 喪中の人へは年賀状を出さないのが主流

喪中はがきを受け取った場合は、年賀状を出さないというのが相手への気遣いです。

7-2. 寒中見舞いで年始の挨拶をするのがスマート

喪中の相手に年始の挨拶をする場合は、寒中見舞いを送るのがよろしいです。

8.まとめ

喪中のお正月の過ごし方についていかがでしたでしょうか。
ポイントをまとめると、以下の通りです。

・11月~12月上旬に喪中はがきを出しましょう。年始の挨拶をする場合は、1/15 ~1月末までに寒中見舞いで。

・喪中は慶事を控える期間ですので、
– お正月飾り
– おせち料理  は控えましょう。

・喪中であっても、
‐ 忌明けであれば初詣に行っても大丈夫です。
– お年玉やお歳暮は問題ありません。
– 長寿や旧年の災厄を断ち切るための年越しそばはいただいて結構です。

・年始の挨拶は、「新年」「あけましておめでとうございます」といったお祝いの言葉を使わない

家族の不幸から1年経たずでまだまだお辛い中、色々と気を配らないといけないことが多く、いつもと違うお正月を過ごすのも大変かと思います。

ですが、「やっていいこと」「控えるべきこと」がわかればその準備も少しは楽になるかもしれません。

どうぞ、穏やかな年末年始をお迎えできますよう。

 

よくある質問

[質問]喪中ですが、初詣には行ってもいいですか?
[回答]忌明け(五十日祭を終えてから)であれば、問題ありません。
[質問]喪中ですが、おせち料理は食べてもいいですか?
[回答]喪中期間は慶事を避けるのが基本ですので、お祝い膳であるおせちは遠慮するのが一般的です。
[質問]喪中ですが、年越しそばは食べてもいいですか?
[回答]年越しそばは、「延命長寿」を願ったり「災厄を落とす」意味合いですので、食べても問題ありません。

 

<参考資料>

服忌 | 神社本庁 (jinjahoncho.or.jp)
日本郵便株式会社「喪中の範囲は何親等まで?出す時期はいつまで?」

 

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