1.そもそも安産祈願って?
1-1. 安産祈願とは、母子ともに健康に出産ができるよう願うこと
安産祈願とは、「妊婦さんが事故や怪我・病気などの災いに遭うことなく無事に出産の日を迎え、丈夫な子供を出産できますように」と、神様に願うことです。
現在は、神社への参拝・祈願や腹帯のお祓いなどをまとめて「安産祈願」としていますが、もとは「帯祝い」が発祥と言われています。帯祝いでは、安定期に入る妊娠5カ月目の戌の日に腹帯をお腹に巻いて安産を願うということが行われていました。
1-2. 形式にとわられない安産祈願が流行
こうした安産を願う風習は日本に古くから存在し、
今でも約9割の妊婦さんが安産祈願のために神社仏閣をお参りされているそうです。
(出典:ベビーカレンダー 現代における『安産祈願(帯祝い)』の常識とは? 2年以内に妊娠・出産を経験した約870人に実態調査)
古来の風習というと堅苦しいイメージかもしれませんが
安産祈願への参拝には決まった形はありませんので、ご自身の都合に合わせてお参りください。
たとえば、現在では、参拝には訪れるものの、参拝の際に腹帯は巻かない方がほとんどです。また、戌(犬)は多産にもかかわらずお産の軽いことから「安産の守り神」とされており、安産祈願には古来「戌の日」が選ばれてきましたが、最近ではお母さんの体調や家族の予定にあわせて行われることも多くなりました。
1-3. 腹帯については神社に確認してみましょう
安産祈願にお参りする目安である妊娠5カ月となると、周りから見てもわかるほどお腹が大きくなってきます。そこで、腹帯は今後どんどん大きくなるお腹を支えて妊婦の腰痛を防ぎ、さらに大事なお腹を保温する効果があります。
また、安産祈願は「帯祝い」に由来するということもあり、腹帯は安産祈願を象徴する重要なアイテムです。
安産祈願に際して、腹帯は
・当日、神社の授与品として受ける
・自分で購入して持ち込む
のどちらかになります。
多くの神社では授与品として腹帯をいただけます。その場合は事前の準備は不要ですが、神社によっては持ち込みを前提とする神社もありますので、事前にWEBサイトや電話で確認しましょう。
神社によっては、持ち込んだ腹帯に朱印をしてくれるところもあります。この場合は、押印しやすいように、綿100%の白いさらしタイプの腹帯がおすすめです。
なお、腹帯の持って行き方に決まりはありませんが、人に見られても恥ずかしくないよう、きれいな紙包みや風呂敷で持って行くとよいでしょう。
1-4. 安産祈願の当日の流れ
神社によって異なる部分もありますが、ここでは安産祈願の一般的な流れを紹介します。
受付時間、予約の有無などは、訪れる神社のWEBサイトで事前に確認していくと安心です。
受付
まずはご祈祷の受付をします。名前や住所などを申込用紙に記入しましょう。受付では、申込用紙と初穂料を渡します。
その後、待合に案内されますので、そこで順番を待ちます。戌の日や大安といった縁起のいい日は、ご祈祷まで待ち時間が発生することもあります。
待ち時間が長い場合は、神社を散策するなどして、ゆっくりとお過ごしください。
授与品受け取り
神社によってタイミングは異なりますが、ご祈祷の前後に、安産祈願にまつわるお札、お守り一式お受け取りいただきます。
授与品の内容は、神社によって異なります。
ご祈祷
ご祈祷の中で、神職により祝詞が奏上されます。
多くの神社では祈願者の名前と住所が読み上げられますので、
耳を澄ませて、一緒に神様に思いを伝えましょう。
祈祷時間は、10~20分程度です。
境内散策
本殿に、二礼二拍一礼の作法で、お参りしましょう。
安産祈願で有名な神社では、神社の敷地内に安産にまつわるスポットがあることが多いです。
神社のパンフレットを見ながら、ゆっくり散策してみてください。
2.安産祈願に行く際の服装選びのポイント【人物別】
安産祈願に行く際の服装について、特に厳格な決まりはありません。とはいっても、安産祈願は神前で行われる儀式ということもあり、きちんとした服で行かれると心が落ち着くのではないかと思います。
ここでは、具体的にどんな服で行けばいいのか、具体的にご紹介いたします。
2-1. 【妊婦さん本人編】 体調を最優先に選びましょう
体調を最優先に、お腹を締め付けない緩やかな服をお選びください。
神社の中は砂利が敷かれていたり、社殿まで階段があったりと、歩きにくい場面もありますので、ヒールのないパンプスなどがおすすめです。
また、神社が混雑していると待ち時間が長かったり、外だと夏は暑く冬は寒かったり・・・と、妊婦さんには疲れやすい環境とも言えます。場所によっては、車での移動や食事を含めると、半日以上かけての大イベントになることもあるかと思います。
そのため、温度調節ができて、体に負担にならない服装を選ぶのがよいでしょう。
例えば、
・ロング丈のワンピース
・締め付けないボトムス、スカート
・足元はヒールのないパンプスやスニーカー
必ずしもフォーマルウェアである必要はありません。
特に決まりはありませんので、派手な色の柄物でなければ、大丈夫です。
2-1-1. 春 1枚羽織物のご準備を
気候がよく、晴れの日は気持ちがいい季節です。
温かくなってくる時期とはいえ、日によって寒暖差があり油断禁物です。カーディガンやジャケットを持っていくと安心です。足元が冷える場合は、マタニティレギンスやタイツを履くのもおすすめです。
2-1-2. 夏 露出が多くならないように
暑い夏には、露出は抑えながらも、風通しのいい服を選びましょう。
薄手になりがちですが、クーラー対策としてサラっと羽織れるものがあるといざというときに役立ちます。
2-1-3. 秋 重ね着で温度調節できる工夫を
だんだんと寒くなってくる秋には、
日中の急な気温変化にも対応できるよう準備しましょう。
春と同じように、カーディガンやジャケットを羽織るだけでなく、1枚薄手のコートがあると、寒く感じるときに重宝します。足元も、マタニティタイツやレギンスをはいて、温かくしていきましょう。
2-1-4. 冬 防寒対策は万全に
寒い冬、冷えは妊婦さんに大敵です。
本格的な防寒対策をしていきましょう。
腰回りまで覆ってくれるような、ロング丈のコートやダウンがおすすめです。
足元は冷えますので、マタニティタイツやレギンスに加え、
厚手の靴下をはいてもいいかもしれません。
その他、レッグウォーマーやマフラー、カイロ、手袋、帽子をうまく活用して、寒さ対策は万全になさってお参りください。
2-2.【旦那さん編】 清潔感のある服装で
2-2-1. スーツもしくはジャケットスタイルで
安産祈願に行くときの旦那さんの服装は、スーツもしくはジャケットスタイルがおすすめです。清潔感を大切にしましょう。
具体的には、春秋冬は「シャツにジャケット」、夏は「ポロシャツ、シャツ」といった襟付き、ズボンは黒・ダークグレー・紺色など落ち着いた色の長ズボンがいいでしょう。
2-2-3. ユニクロでも大丈夫
ユニクロでも、ジャケットや長ズボン、襟付きシャツはありますので、黒・ダークグレー・紺色といったベーシックな色合いの組み合わせで選ぶときれいにまとまります。
ユニクロに限らず、他のカジュアルブランドでも同じように探してみてください。
2-4.【ご両親(祖父母)編】 妊婦さんと格を合わせて
最近では、安産祈願に両親が付き添うといったケースもあります。
その場合、まずはメインである妊婦さんと服装の格を合わせるようにします。お母さまの場合、持っているセットアップやワンピースでいいでしょう。色は黒・白・紺色など、ベーシックな色合いがおすすめです。お父さまは、旦那さんと同じように、襟付き・長ズボンで大丈夫です。
過度なフォーマルになりすぎず、妊婦さんと事前に話し合い、服のトーンをあわせることが大切です。
2-5.【お子さま編】 窮屈でない落ち着いた服装で
子どもの場合は、パパ・ママの服装とバランスが取れたものを選びましょう。
特に小さいお子さまの場合はシャツ・短パンでも問題ありませんが、黒・白・グレー・紺色など、落ち着いた色合いでまとめるとことをおすすめします。
サイズが小さく動きにくいものといった、長時間着ているのが辛くなるような服装は避けてあげるのがよろしいかと思います。
3.安産祈願には避けたほうがいい服装
安産祈願は神前の儀式ですので、神様に失礼のないよう、次の服装は避けましょう。
3-1. 露出の多い服
暑い夏、ノースリーブや短めのパンツといった露出の多い服は避けましょう。
3-2. ジーパン
デニム素材はカジュアルすぎますので、他の素材を選びましょう。
3-3. 汚れた服
汚れた服で神社に参拝するのは、避けましょう。
身も心もきれいにして、お参りしましょう。
3-4. Tシャツ、短パン、サンダル
ラフすぎる服装は避けましょう。
3-5. 派手な色の服
蛍光色や全身柄物といった派手すぎる色合いの服は避けましょう。黒・白・グレー・紺色など、ベーシックな色合いの服だと、周りから変に目立つことはありません。
3-6. その他、気にしたい装飾
サンダル、ヒールは避けましょう
神社敷地内は砂利が敷かれていたり階段が多かったり、駐車場から歩いたり、境内を散策したりと、安産祈願は意外とアクティブなイベントです。足元は歩きやすい靴やヒールのないパンプスがおすすめです。
カジュアルすぎるので、サンダルは避けましょう。
鞄は落ち着いた色を選びましょう
服にあわせて、黒・白・グレー・紺色など、落ち着いたベーシックの色のカバンを選びましょう。派手な柄付き、ブランドロゴが全面にアピールされているもの、シルバー・ゴールドの金具がたくさんついているなど、主張が強いものは避けるのが無難です。
髪型は服に合わせてセット
服装にあわせて髪もセットしましょう。清潔感のある髪型が好ましいです。
過度なアクセサリーは避けましょう
ご祈祷は、静かな環境で行われますので、歩くと音が鳴るようなジャラジャラするアクセサリーは外していきましょう。
まとめ
さあ、安産祈願に着て行く服は決まりましたでしょうか。
大事なポイントをおさらいすると、
1.妊婦さん本人は、体調を最優先に服装を選ぶ。
ワンピース+パンプス、が定番。
2.旦那さんは、スーツもしくはオフィスカジュアルで。
3.ラフすぎる、カジュアルすぎる服装はNG。
これらをしっかりとおさえれば、神様に対する敬意を示すことができ、安産への願いがしっかり伝わるでしょう。神社の景観にも馴染み、周りの参拝者から変に目立つこともなく、堂々と祈願できること間違いなしです。
安産祈願は、赤ちゃんを迎えるための大事な準備の一つです。ご家族で、思い出に残る行事になさってください。
よくある質問
[質問] 私(妊婦)は、安産祈願にはどんな服装で行けばいいですか? |
[回答]妊婦さんは、温度調節ができて体に負担にならない服装を選びましょう。ベーシックカラーの、ロング丈のワンピース・締め付けのないボトムスなどがよろしいかと思います。 |
[質問]夫は、安産祈願にはどんな服装でいけばいいですか? |
[回答]旦那さんは、スーツもしくはジャケットスタイルで、清潔感を大切にしましょう |
[質問]安産祈願には避けた方がいい服装はありますか? |
[回答]安産祈願は神前の儀式ですので、カジュアルすぎる服装(ジーパン、Tシャツ、短パンなど)や華美な服、汚れた服は避けましょう。 |
<参考資料>
・鎌田久子他(1990)「日本人の子産み・子育てーいま・むかし」勁草書房
・アカチャンホンポ 戌の日カレンダー
・TAKASHIMAYA ONLINE 安産祈願のお祝い事「帯祝い」の基礎知識
・ベビーカレンダー 現代における『安産祈願(帯祝い)』の常識とは? 2年以内に妊娠・出産を経験した約870人に実態調査