産泰神社

安産祈願や神社のことについて、神職が綴ります。

このはな手帖

丙午(ひのえうま)とは?――2026年の意味・該当年・由来をやさしく解説

丙午(ひのえうま)とは?――2026年の意味・該当年・由来をやさしく解説

「干支」は十干と十二支の組合せ=六十干支の循環です。

2026年は丙午(ひのえうま)。

本記事では、丙午の読み方や該当年、年回りの確認方法、そして江戸期に広まった“丙午の俗信”の位置づけを整理します。

1 定義と仕組み(十干十二支・六十干支)

干支の説明

1-1 六十干支の構造

1-1-1 十干と十二支の組合せで60年周期

六十干支の一覧

干支は「十干(じっかん)+十二支(じゅうにし)」の組合せによる数え方です。その組合せは60通りあり、これらの集合を「六十干支(ろくじゅっかんし)といいます。

古くから分類や順番を表すために使われる記号である十干(甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸)と十二支(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)をそれぞれの順で掛け合わせてできる六十干支。

同じ組合せが巡るのは、10と12の最小公倍数である60年後です。

「還暦」は、この六十干支が一巡して生まれた年の干支(えと)に“還(かえ)る”ことから、人生の節目としてお祝いされてきました。

干支は年だけでなく月日や時刻にも付され、暦注の基本的な考え方です。暦は機械的に循環し、例外規則はありません。

(参考)こよみ用語解説:六十干支のよみ方|国立天文台

1-1-2 年・月・日・刻にも干支が割り当てられる

干支は年回りに限らず、伝統的に月・日・刻(時刻)にも割り当てられます。

年の干支が最も身近ですが、同じ規則が時間の月、日、時刻まで同じように適用されるため、暦全体の整合が保たれます。

(参考)暦Wiki:干支|国立天文台

1-1-3 陰陽五行説との関係

十干・十二支には、それぞれ陰陽と五行(木・火・土・金・水)の属性が付されています。

十干は「甲・乙=木、丙・丁=火、戊・己=土、庚・辛=金、壬・癸=水」で、奇数番(甲・丙・戊・庚・壬)が陽、偶数番(乙・丁・己・辛・癸)が陰。十二支にも配当があり、「午」は火・陽に位置づけられます。

したがって丙午は、干(丙=陽の火)と支(午=陽の火)が重なる火性の強い組合せという整理が古典的にはなされます。

1-2 2026年の「丙午」の読み方

1-2-1 「丙午」の読みは「ひのえうま」

2026年(令和8年)は、十干が「丙(ひのえ)」、十二支が「午(うま)」なので、「丙午(ひのえうま)」となります。

(参考)暦象年表 令和8年(2026)|国立天文台

1-3 十干の読み方

十干の読み方

1-3-1 読みの基本と表記の原則

干支は「えと/かんし」と読。みます。

十干の訓読み(きのえ・きのと/ひのえ・ひのと/つちのえ・つちのと/かのえ・かのと/みずのえ・みずのと)は、五行配当(木・火・土・金・水)と陰陽の組み合わせで決まります。

五行の対応は、

・甲・乙=木、丙・丁=火、

・戊・己=土、庚・辛=金、壬・癸=水陰陽については、

・奇数番(甲・丙・戊・庚・壬)が陽=兄(え)、

・偶数番(乙・丁・己・辛・癸)が陰=弟(と) 

にあたります(「え/と」の語は古く“兄弟”に由来するとされます)。例えば、今年2026年の十干である「丙」の読み方は、火、陽(え)→ひのえとなります。

 

2 「丙午」にあたる年はいつか

2-1 丙午にあたる年の挙げ方

2-1-1 代表例は1906・1966・2026・2086年

丙午は60年ごとに巡ります。近現代の代表例は1906年(明治39年)・1966年(昭和41年)・2026年(令和8年)・2086年(元号未定)です。

2-1-2 60年周期で同じ干支が再来する

十干・十二支はいずれも固定順で進み、最小公倍数の60年で同じ組合せが再来します。したがって、「次の丙午=前回+60年」と覚えておくと便利です。

2-2 年回りの確認のしかた

2-2-1 暦象年表で年の干支を公式に確認

年の干支は国立天文台の暦象年表で公式に確認することができます。年版PDFの冒頭にその年の干支と主要暦情報がまとまって記載されています。

令和8年は,年の干支は丙午(ひのえうま),1月1日の干支は乙亥(きのとのゐ),・・・

(参考)暦象年表 令和8年(2026)|国立天文台

2-2-2 暦計算ツールで西暦・干支を即照合

個別の年や日付の干支は、国立天文台の暦計算・データベースで即時照合することができます。西暦や元号を入力すると対応する干支を確認できます。必要に応じて活用してみましょう。

(参考)通日・曜日・干支(暦計算)|国立天文台

3 丙午信仰の起源と展開(史資料)

3-1 文献にみる内容(何が語られたか)

3-1-1 典型表現は婚姻を慎む趣旨の言い回し

丙午の女性像は、文献上では「気性が強い」「縁談は慎重に」といった表現で語られることがあります。

史料の一部には過激な言い回しも見られるが、ここでは歴史的表現としての紹介にとどめます。

核となるモチーフは、

①火性の重なり(丙=陽の火・午=火)に基づく“強さ”の誇張
②婚姻に関する警句(縁談を慎む・良縁説話)
③火難や荒事への連想

です。表現は教訓書・往来物・随筆・俳諧など多様な媒体で確認され、語彙が異なっても含意はおおむね共通するといえるでしょう。

3-1-2 拡散の担い手は刊行物と上演物

語りの拡散は、往来物や良縁心得の類い、通俗読本・草双紙などの刊行物に加え、浄瑠璃・歌舞伎の上演が担いました。

とりわけ八百屋お七像は火災の記憶と結び付き、強い情念=火のイメージを重ねる物語装置として機能した。

こうした媒介は娯楽・教化の文脈で像を“固定化”させたが、史実や個人の資質を意味するものではなく、現代的には迷信として位置づけられています。

(参考)レファレンス事例:丙午信仰の起源と定着|国立国会図書館

3-1-3 辞典類の要点(広辞苑・ニッポニカ)

国語辞典・百科事典でも、五行配当(丙=火の兄/午=正南=火)から火災年視が語られ、そこから派生して婚姻・女性像に関する注意的な言い回しが生まれた旨が説明されていることが確認されます。

『日本大百科全書(ニッポニカ)』では、丙午を凶歳とする見解が中国・北宋末の説として強まり、日本では下級宗教者などを介して村々に広まる過程で女性像の俗説が生じた、と整理されています。

ただし、これらは流布した説明の整理であり、現代の生活判断に直結する根拠を与えるものではないことに留意しましょう。

(参考)新村 出 編『広辞苑 第七版』岩波書店,2018,p.2479.
『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館,1994(項目「丙午」)。

まとめ

干支は、十干と十二支を順に組み合わせた60通りの体系「六十干支」です。

10と12の最小公倍数で60年ごとに同じ組合せが戻り、2026年はその中の「丙午(ひのえうま)」にあたります。

この枠組みは年だけでなく月・日・刻にも及びます。仕組みを押さえると、還暦の意味づけや年回りの確認も一貫して理解できます。

干支は新年の時季に注目されがちですが、仕組みを理解すれば、私たちの社会に根付く文化の一端を実感できます。

よくある質問

[質問]丙午(ひのえうま)とは?
[回答]十干の「丙(ひのえ)」と十二支の「午(うま)」が重なる六十干支の一つを指します。通常は年の呼称として用いられますが、干支は月・日・刻にも付きます。読みは「ひのえうま」です。
[質問]丙午の年に生まれた女性は気性が強い”は本当?
[回答]それは歴史的に流布した俗信の一つで、現代的な根拠はありません。
[質問]丙午は具体的に何年? 次はいつ来ますか?
[回答]丙午は60年ごとに巡り、近現代では1906年・1966年・2026年・2086年…です。「前回+60年」で覚えると便利です。

 

関連記事