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このはな手帖

【2024年版】戌の日計算ツールでベストな安産祈願の日を見つけよう

【2024年版】戌の日計算ツールでベストな安産祈願の日を見つけよう

妊婦さんにとって大切な行事である安産祈願。

安産祈願は、「妊娠5ヶ月目の最初の戌の日に行うもの」と聞いたことがあるかもしれません。

しかし、

「そもそもなぜ戌の日にするの?」「戌の日っていつ?」
「妊娠5ヶ月目ってどうやって数えるの?」
「他の日ではだめなの?」

など、簡単に「戌の日」といっても、なかなか日程を決められないということもあるでしょう。

ここでは、安産祈願といえば「妊娠5ヶ月目の戌の日」とされる理由を解説します。

さらに、この「妊娠5ヶ月目の戌の日」を簡単に計算できるツールをご紹介します。これを使えば、出産予定日を入力するだけで、あなたにぴったりの安産祈願のタイミングを知ることができます。

この記事を読み、それぞれのご家族にあったベストなタイミングを決め、しっかり準備して安産祈願に臨みましょう!

INDEX

1.戌の日に安産祈願を行う理由と意味

安産の守り神とされる犬

1-1. 戌の日とは?その由来と安産祈願の関係

1-1-1. 十二支の「戌」にあたる日

2024年が“辰”年であるように、年と同じように日にちにも十二支が割り当てられています。

「戌の日」は十二支の「戌」にあたる日であり、12日に1度(1ヶ月に2~3度)訪れます。

1-1-2. 「戌(犬)」は安産の守り神である

神社本庁公式サイトによると、安産祈願を戌の日に行う理由について、以下の通り説明されています。

犬はお産が軽く、また多産ということにあやかるためや、この世と来世を往復する動物と考えられていること、また、よく吠えて家を守るため邪気を祓う意味があるといわれています(出産と育児に関する神事 | 神社本庁公式サイト)。

犬(戌)は多産であり安産であるから

犬(戌)は一度にたくさんの子犬を産み、なおかつ出産が軽いことから「安産の守り神」といわれており、それにあやかって安産祈願を「戌の日」に行くと縁起がよいとされています。

犬が霊獣と考えられていたから

犬が霊界、つまりこの世と来世を往復する動物である霊獣と考えられていたともいわれます。

花咲爺の昔話のように、戌が地下の財宝を予知したり、あるいは各地の始祖伝説の中に、犬が泉、井戸を発見して住み着いたという伝説があるように、異郷と往来できる霊獣と考えられたことと無縁ではない(鎌田他 p. 53)

こうしたエピソードでもわかるように、犬は霊獣として特別な力を持つ動物と考えられていました。

犬は吠えて邪気を払うとされるから

犬はよく吠えて家を守るために邪気を払うとも考えられていました。

神社の参道の入口や拝殿の前などに狛犬が設置されているのも、同じ理由からです。

1-1-3. 歴史的には、帯祝いに由来する

安産祈願と戌の日の関係性について、歴史を紐解いてみましょう。

現代の安産祈願といえば、「妊娠5ヶ月目の戌の日に社寺へ参拝しご祈願を受け、お守りやお神札、腹帯をいただく/腹帯をお祓いしてもらう」ということが一般的です。

この現在の安産祈願は、明治・大正時代に「安産祈願のために社寺へ参拝すること」と「妊娠5ヶ月目の戌の日に腹帯を締め始めること(帯祝い)」という別々の習慣がひとつに結びついたものだと考えられています(田口「現代における人生儀礼の実態と意義」, p.55)。

こうして、現在では安産祈願といえば「戌の日」がよいとされています。

さて、「妊娠5ヶ月目の戌の日」に腹帯を締め始めるという風習は鎌倉時代以降にその記録がありますが、全国的に広まったのは少なくとも江戸時代中期よりも後との考察があります(鎌田他「日本人の子産み・子育て」 p.53)。

諸説ありますが、歴史的にみると、平安から鎌倉時代の初めころまでは卯(うさぎ)の日に巻くことが多かったとのこと。

江戸時代に入っても、腹帯を締め始めるのによいとされる日は「子(ねずみ)」「戌(いぬ)」「酉(とり)」「寅(とら)」とされていたりと、特に「戌の日」に限る話ではありませんでした。

地域や時代により様々な変遷を経て、現在では安産祈願には「戌の日」、といわれるようになりました。

1-2. なぜ「戌の日」に安産祈願をすべきなのか?

1-2-1. 安産の象徴である犬は、縁起がよいから

“犬が多産でお産が軽い”ことから安産の守り神とされている犬(戌)。これにあやかり、「戌の日」は安産祈願に縁起のよい日とされています。

1-2-2. 日本の昔ながらのしきたりだから

「安産祈願といえば戌の日」というしきたりに基づいて安産祈願をすることで、ある種の安心感が得られるということもあるでしょう。

妊娠中は、色々と不安がつきものです。「これって私だけ?」「他の人はどうしてるんだろう?」と気になるけど聞けない、そんな人も多くいるかと思います。

そんな中、「しきたり」という一つの大きな目安があると心強いものです。

しきたりを一つの参考にしたいという方は、「戌の日」を選ぶことで、安心して後悔のない安産祈願をすることができるでしょう。

1-3. 戌の日を選ぶ際、六曜は気にするべき?

六曜

1-3-1. 気にしなくて大丈夫

六曜は、日本に14世紀頃入ってきた考え方ですが、元は、中国の宋の時代に考案された陰陽五行説に基づく時刻の吉凶占いです。

つまり、六曜はあくまで俗信の一つですので、安産祈願の日取りを選ぶ際に、気にする必要はありません。

1-3-2. 気になる場合は、仏滅・先負・赤口は避けるのが無難

神道の考え方では、安産祈願の日取りを決める際に六曜を考慮する必要はありませんが、中には妊婦さんご本人や一緒に行くご家族の方の中でどうしても六曜が気になるという方もいらっしゃるでしょう。

そのような場合、縁起がよくないとされる仏滅をはじめ、先負や赤口も避けて日程を調整してもよいでしょう。

先負や赤口は一日のうち吉とされる時間帯が非常に限定的であるため、避けられる傾向があります。

仏滅・・・六曜の中で最も凶日。

先負・・・「先んずれば負ける」を意味し、午前中は凶・午後は吉。

赤口・・・祝い事は避けた方がよい凶日。午前11時から午後1時だけ吉で、その他は凶。

とはいえ、六曜はあくまでも俗信です。

神道の考え方では仏滅や先負、赤口で安産祈願を行っても何の問題もありません。

六曜にとらわれすぎず、柔軟に日取りを決めるようにしましょう。

1-3-3. 六曜よりも妊婦さんの体調を最優先に

安産祈願の日取りを決める際に最も重要なのは、妊婦さんの体調を最優先にすることです。

安産祈願に行く妊娠5ヶ月目の頃は体調が安定してくる時期ではありますが、妊婦さんにとって外出は負担が大きいもの。お日柄にとらわれすぎず、妊婦さんの体調がよい日を選びましょう。

2.戌の日計算ツールあり!妊娠5ヶ月目の戌の日を調べよう

2-1. 戌の日計算ツールを使って最適な日を見つけよう

安産祈願といえば「妊娠5ヶ月目の戌の日」といわれても、いざ自分で調べるにはどうすればいいのか悩んでしまいますよね。

そんな時に便利なのが、「戌の日計算ツール」。

出産予定日を入力すると、妊娠5ヶ月目の戌の日が表示されます。
(以下の画像をタップすると、戌の日計算ツールにリンクします)戌の日計算ツール

六曜も表示されますので、気になる人はあわせてご確認ください。

2-2. 2024・2025年の戌の日を確認しよう

妊娠5ヶ月目の戌の日だけでなく、その他の月も知りたいという方は、こちらをご覧ください。

2024年戌の日カレンダー

3. 戌の日に行けない場合は?

3-1. 戌の日以外でも大丈夫

安産の守り神である戌にあやかり、安産祈願には戌の日がよいとされますが、体調や仕事の都合で戌の日に行けない場合もあるでしょう。

もちろん、安産祈願には戌の日以外に行っても大丈夫です。ご利益は変わりません。

妊婦さんの体調がよく、一緒に行く人の都合のよい日を選びましょう。

4. 安産祈願の準備と持ち物

持ち物や準備のチェックリスト

4-1. 祈願前の準備と確認事項は?

4-1-1. 予約の要否を確認する

安産祈願を受ける際、神社によってはご祈祷の予約が必要な場合があります。

WEBサイトで事前に予約の要否を確認し、必要であれば予約しましょう。

WEBサイトがない神社の場合は、直接電話で問い合わせをしてみましょう。

4-1-2. 腹帯が必要か確認する

安産祈願の象徴である腹帯。

腹帯は、自分で購入し持って行くほか、神社から授与品として頂ける場合もあります。

いずれの場合となるのか、WEBサイトや電話で事前に確認しましょう。

腹帯を持参する場合は、神社でお祓いをしていただける場合があります。そのまま持って行っても、着用して神社に行っても構いません。

ご祈祷の後には、腹帯に朱印を押してもらったり、授与された小布を腹帯に縫い付けるなどする場合があります。ご自身で確認の上、用意する場合は、白や薄ピンクの綿素材であるさらしを選ぶとよいでしょう。

4-1-3. 初穂料を準備する

初穂料は、現金のまま神社で納めても問題ありませんが、のし袋に入れるとより丁寧です。

初穂料を参拝予定の神社のWEBサイトや電話で事前に確認し、新しいお札を用意してのし袋に入れます。

袱紗を持っている場合は、のし袋を袱紗に入れるときれいに持ち運びができます。

安産祈願で持参する初穂料・上袋の書き方

安産祈願で持参する初穂料・中袋の書き方

 

初穂料の封筒の書き方について詳しくはこちらもあわせてどうぞ
【神職が画像で紹介】初穂料はどんな封筒に入れる?書き方やお金の入れ方、神社での渡し方まで解説 | このはな手帖 | 産泰神社

なお、神社によっては安産祈願の初穂料が「5,000円~」など、明記されていない

ことがありますが、このような場合は、そのまま5,000円を納めて問題ありません。

また、「お気持ちで」などと、金額がまったく明示されていない場合は、一般的な初穂料である5,000円〜10,000円程度を準備するとよいでしょう。

4-1-4. アクセスを確認する

当日に困らないように、神社へのアクセスを確認し、行き方のイメージをしておきましょう。

移動に手間取ってしまうと、妊婦さんにとっても負担になってしまいます。

例えば、高速道路を利用していく場合は、トイレ休憩などもしっかり考慮すると安心です。

4-1-5. 昼食の場所を検討する

せっかくの夫婦での外出。安産祈願の後にはふたりでゆっくりと食事をするのもよいでしょう。

混雑を避けるためにも、食事をする場合は、場所をあらかじめ決めておくと安心です。

4-2. 神社への持ち物は?

4-2-1. 腹帯(必要な場合)

腹帯

腹帯は、神社で授与品として頂ける場合と、事前に自身で購入したものを持って行く場合があります。

どのようにすればよいか、事前に神社に確認しましょう。

持参した腹帯に朱印を押してくれる神社もあります。このような場合は、白や薄ピンクのさらし素材がおすすめです。

腹帯を持って行く場合は、パッケージから取り出し、風呂敷や紙袋に入れるなどするとよいでしょう。

4-2-2. 初穂料

初穂料

初穂料は、事前に金額を確認して現金で持って行きましょう。

中には、クレジットカードやコード決済を使える神社もありますが、初穂料は現金で納めるのが基本です。

なお、現金をそのまま納めても問題ありませんが、のし袋に入れるとより丁寧です。

また、のし袋は袱紗(ふくさ)に入れると、のし袋が折れ曲がったりすることなくきれいに持って行けます。

4-2-3. 母子手帳

母子手帳

妊娠期間中、万が一の体調不良などに備えて母子手帳を持ち歩くことが推奨されますが、安産祈願に行くときにも忘れずに持って行きましょう。

妊婦さんの健康情報や緊急連絡先が記載されているため、何かあったときにも安心です。

4-2-4. カーディガンやブランケット

カーディガン

安産祈願に行くには、安定期とはいえ妊婦さんが長時間外出することになります。

季節によっては体調管理ができるように、カーディガンやブランケットなどを用意しておくと安心です。

4-3. 祈願後は何をする?

4-3-1. 境内を散策

神社に着いたら、まずご祈祷を受けましょう。

境内での散歩は、ご祈祷が終わった後にゆっくりするのがよいでしょう。

境内の中に様々なお参りどころがある神社もありますので、是非めぐってみてください。

4-3-2. 帰宅したらお神札をお祀りする

授与品としていただいたお神札をお祀りしましょう。

お神札は神様のご分霊を移したものであり、神様の力が宿っています。そのため、神様と同じように大切にお祀りしましょう。

立ち上がったときの目線より高く、清潔な場所に設置します。この際、お神札の正面が南もしくは東を向くようにお祀りしましょう。

場所が決まれば、ほこりなどがないよう掃除をしてからお祀りします。

なお、神棚がない場合や、高いところでのお祀りが難しい場合、南向き東向きにお祀りできない場合は、低い場所でも丁寧にお祀りすることが大切です。

お祀りした後は、お神札の周りをこまめに掃除し、清浄を保つように心がけましょう。

4-3-3. お守りを身に着ける

お守りはお神札を小型化し、常に身に着けていられるようにしたものです。

安産祈願で受けたお守りは、鞄や財布に着けるなどし、大切にしましょう。

5. 安産祈願の手順

安産祈願を受ける夫婦

神社によって異なる部分もありますが、ここでは安産祈願の一般的な流れを紹介します。

まずは神様にご挨拶をするという意味合いから、境内散策前にご祈願を受けることをおすすめします。

5-1. 神社での祈願の流れは?

5-1-1. 受付

まずは神社の受付でご祈祷の受付をします。

申込用紙には妊婦さんの名前と現住所を記入します。

初穂料は、申込用紙を渡す際に受付に一緒に渡します。

その後、待合室や境内で順番を待ちます。戌の日や土日祝日は、ご祈祷までの待ち時間がある場合もあります。

5-1-2. 授与品をいただく

神社によって順番は異なりますが、ご祈祷の前後に、安産祈願にまつわるお神札・お守りなどを受けます。

授与品の内容は、神社によって異なります。

5-1-3. ご祈祷の儀式

神職によって、安産を祈念する祝詞が神様に奏上されます。

祝詞では妊婦さんの名前と住所が読み上げられますので、心を静かに、一緒に神様に思いを伝えましょう。

ご祈祷時間は、おおよそ15分から20分程度です。

5-1-4. 玉串礼拝

ご祈祷の後はご神前で神様にお参りをします。二礼二拍一礼の作法で、お参りしましょう。

また、拝礼の際に玉串を使う場合もあります。下の動画を参考にしてみてください。

〈参考・玉串拝礼〉

まとめ

さて、いかがだったでしょうか。

安産祈願といえば、「妊娠5ヶ月目の最初の戌の日」に行うのが伝統的です。

というのも、多産でありながら安産であるという犬。この犬(戌)にあやかり、戌の日に安産祈願を行うことが縁起がよいとされます。

妊婦さんご自身の「妊娠5ヶ月目の戌の日」を検索できる便利なツールもありますので、是非ご活用ください。

とはいっても、お日柄にとらわれすぎて無理をすることは禁物です。

妊婦さんの体調を最優先に、また一緒に行くご家族の都合と調整しながら、それぞれのご家族にあったベストなタイミングで安産祈願を行きましょう。

また、安産祈願に行く場合は、事前準備も欠かせません。腹帯、初穂料、母子手帳など、どれも忘れてはならないアイテムです。当日の朝に焦らないよう、前日までに準備しておきましょう。

<参考資料>

出産と育児に関する神事について | 神社本庁
鎌田久子他「日本人の子産み・子育て―いま・むかし―」1990年 勁草書房

よくある質問

[質問]戌の日以外に安産祈願を行っても大丈夫ですか?
[回答]いつでも大丈夫です。妊婦さんの体調にあわせて安産祈願に行きましょう。
[質問]安産祈願はいくらですか?
[回答]安産祈願の初穂料は神社によってさまざまですが、一般的に5,000円〜10,000円が相場といえるでしょう。
[質問]安産祈願に行ってはいけない日はいつですか?
[回答]特にありません。神道と関係はありませんので、六曜も気にする必要はありません。そのため、仏滅・先負・赤口でも問題ありません。

 

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