INDEX
1 喪中期の初詣の可否と時期の目安
1-1 忌中期間の参拝判断
1-1-1 忌中は神社参拝を控え、自宅で静かに過ごす
親族が亡くなったとき、身内の者は喪に服しますが、このことを「服忌」といいます。
「忌」とは個人のお祀りに専念する期間、「服」は故人への哀悼の気持ちを示す期間のことです。
「忌」の期間中、つまり忌中は、神社への参拝や神棚のお祀りはいったん見合わせましょう。
目安は、五十日祭を終えるまでです。無理に参拝せず、故人を偲びつつ生活を整えましょう。
1-1-2 「鳥居をくぐらなければ可」ではなく、参拝自体を控える
「参道や鳥居を避ければよい」という理解は誤りです。忌
中は神社参拝そのものを控えるのが基です。
1-2 忌明け後の再開時期の目安
1-2-1 忌明け後は参拝・神棚のお祀りを再開
五十日祭を終え忌明けを迎えたら、神社参拝やお神札のお祀りを少しずつ再開して構いません。
忌中を過ぎれば、原則として神事を再開しても差し支えないと考えられています
(出典:服忌 | 神社本庁)
まずは感謝と報告の短い参拝からはじめます。
昨年の初詣で受けたお守りやお神札は、忌が明けてから、自身や家族の気持ちが落ち着いた頃にお納めし、新しいものを受けましょう。
1-2-2 忌明け直後は混雑回避で心身に配慮
忌明け直後は心身が揺らぎやすい時期です。初詣は混雑を避け、短時間で無理なく行いましょう。
静かな参拝から慣らすと負担が軽くなります。
松の内の期間は初詣の参拝客で混雑します。松の内は、関東では1月7日まで、関西では1月15日(小正月)までとすることが一般的です。
2 忌中・喪中の過ごし方と参拝について

2-1 神社の参拝について
2-1-1 忌中は参拝を避け、身の清めと生活を整える
忌中は神社参拝を控えるのが基本です。家では、日々の清め(手洗い・掃除・換気)を意識します。感謝の気持ちは心内で伝えましょう。
2-1-2 参拝は忌明け後に、通常通りで大丈夫
五十日祭が終われば忌明けです。忌明け後は、家族と相談しながら、気持ちが整ったタイミングで神社に参拝しましょう。
参拝は、喪中であっても問題ありません。気持ちが整わない日は無理をせず、日を改めましょう。
2-2 寺院へのお参りについて
2-2-1 忌中であってもお参りして問題なし
忌中の参拝を控える考え方は神道の「穢れ」によるもののため、
仏教や浄土真宗をはじめとする寺院への参拝は、忌中であっても基本的には問題ないとされます。
通常通りお参りしましょう。
2-3 自宅でのお祀りについて
2-3-1 神棚は半紙で覆い一時中断、忌明け後に再開

忌の期間は、神社での参拝と同様に家庭の神棚のお祀りも一時停止します。
ご身内の逝去に際しては、まず喪主が神棚へ訃報を奉告し、生前に賜った御神恩への感謝と葬儀が滞りなく進むように祈るのがならわしです。
続いて、前面に白い半紙を貼る、あるいは屏風で目隠しをして、当座は神棚の奉仕を休止するのが一般的です。
3 親等別の参拝の判断の目安

3-1 一親等の場合(配偶者、父母、子)
3-1-1 忌中は参拝を控え、忌明け後に静かな初詣へ
配偶者や父母・子など一親等がなくなった場合、忌中は参拝を控えます。
忌明け後は、喪中であっても参拝して問題ありません。
家族と相談の上、心身への負担を考慮しながら、参拝の時期を決めましょう。
3-2 二親等の場合(祖父母、兄弟姉妹、孫)
3-2-1 忌中は参拝を控え、配慮の度合いは家族の距離感で調整
祖父母・兄弟姉妹など二親等も、基本は忌中の参拝を控えます。
故人との生活距離や心身の負担を踏まえ、忌明け後の時期を家族で話し合って決めましょう。
3-3 三〜四親等の場合
3-3-1 故人との関係性により家族内で相談しましょう
一般的に、忌中・喪中となるのは故人と二親等以内とすることが多いです。
しかし、関係性によっては三〜四親等(曾祖父母、おじおば、甥、姪など)であっても、忌中・喪中とすることもあります。
その場合は、心の整理を優先し、参拝は忌明け後に行います。
4 忌中と知らずに神社へ参拝してしまったら
4-1 忌中に参拝してしまったらどうすべきか
4-1-1 過度に気を病まず、次から気を付けましょう
忌中での参拝は、境内という聖域に穢れを持ち込んでしまうことになるため控えるのが基本です。
ただし、「知らずにお参りしてしまった」場合、そのことを過度に気に病む必要はありません。
次回は忌明け後、混雑を外した静かな時間帯に短時間で参り、感謝と近況の報告をお伝えすれば整います。
心身の回復を見ながら日を選びましょう。
5 授与品の扱い

5-1 お守り・お神札をどうするか
5-1-1 忌明けに参拝し、新しいものを受けましょう
初詣の時期が過ぎてしまっていても、忌が明けてから新しいものを受ければ問題ありません。お守りやお神札は1年を目安に新しいものを受けましょう。
5-2 縁起物を受けたい場合
5-2-1 忌明けであれば縁起物を受けても大丈夫
忌明けであれば、喪中であっても縁起物を受けても大丈夫です。
一方、忌明けを待つと初詣の時期が終わってしまい正月の縁起物が受けられないという場合は、事前に神社に電話をして相談しましょう。
5-3 返納のタイミングの考え方
5-3-1 忌明けに参拝し、古神札納所へ返納しましょう
お守りやお神札は、受けた神社の古神札納所に返納しましょう。
特に明確な期限のあるものではないので、忌明けの落ち着いたタイミングで問題ありません。
なお、諸般の事情で参拝がかなわない場合は、近くのほかの神社でも構いません。ただし、神社のものは神社へ、お寺のものはお寺に返します。
5-3-2 どんど焼き等の行事を活用
地域のどんど焼き等でお焚き上げされる場合は、そちらにお納めしてもよいでしょう。
6 職場での対応について
6-1 会社の初詣への参加可否の考え方
6-1-1 忌中は辞退が基本、必要なら忌明け後に調整
会社の初詣も、忌中は参加を控えるのが無難です。忌明け後に上司と相談し、混雑を避け短時間で同行するなど負担の少ない形を検討しましょう。
6-1-2 参加する場合は事前に神社に相談を
やむを得ない事情で会社の初詣に参加しなければならない場合、お祓いを受けてから参拝するなどの対応について事前に神社に相談しましょう。
6-2 参加を見送るときの伝え方
6-2-1 事前に一言、簡潔に「喪中につき今回は見送ります」
会社行事としての初詣の参加可否は早めに連絡することを心がけましょう。
「喪中につき、今回は見送ります。業務は通常通り対応します」と簡潔に伝えましょう。
必要に応じて忌明け後の調整案も添えるとスムーズです。
7 まとめ

大切な方を亡くし、誰もが辛い時期です。喪に服す時は、無理をせず心身の回復を最優先にしましょう。
忌中は神社参拝と神棚のお祀りを控え、自宅で静かに偲びましょう。
一方、五十日祭を終える忌明け後には、いつも通り神社を参拝して問題ありませんが、短時間・少人数・混雑回避で心身に配慮した参拝を心がけると安心です。
お正月の授与品は、忌明け後の落ち着いた時期に返納し、新しいものを受けましょう。
本記事が、年のはじめの道しるべとなり、皆さまの安寧が守られますようお祈り申し上げます。
<参考資料>
よくある質問
| [質問]喪中(忌中)の初詣はいつから行けますか? |
| [回答]神社参拝は忌中(目安=五十日祭まで)は控え、忌明け後に短時間・静かに再開します。寺院は忌中でも差し支えないのが一般的です。 |
| [質問]授与品(お守り・お札・縁起物)はどう扱えばよい? |
| [回答]忌中は一時保管し、忌明け後に古神札納所へ返納・受け直しましょう。無理のない時期に整えれば問題ありません。 |
| [質問]喪中はどこまで?二親等より先でも控えるべき? |
| [回答]一般には二親等までを喪中とすることが多いですが、故人との生活の近さや心身の状態で配慮を決めます。神社参拝は忌中は控え、必要に応じて寺院や自宅で静かに偲びましょう。 |

